#1では、現在のリアルタイム対戦の環境がどのようにしてできたのかについておさらいしたが、今回はさらに踏み込んでそれに対するメリット、デメリットを整理し、リアルタイム対戦がどのようにあるべきなのかを個人的な視点で考えたいと思う。

 

 

〇リアルさを追求するか、ただの野球ゲームにすぎないのか

 

まず、現在の環境のメリットは、ある程度の期間、ゲームをやり続ければ実際の野球の知識がなくとも、打撃操作で苦しむことはないという点だ。もちろん、その日の調子や体調によって多少の波はあるかもしれないが、回数を重ねて慣れることによって、そのコンテンツを楽しめる程度のスキルは確実に身につく。スラカット時代は今の環境に比べると慣れるまでにかかる時間が圧倒的に長かった。

 

前回、初心者には難しかったのではないかと申し上げたが、厳密には、常設コンテンツとなって1年も経過していない状態で、相対的に難しい環境にあったことがユーザーのニーズとミスマッチであったということだろう。つまり、リアルタイム対戦が実装されて盛り上がったにも関わらず、スキルが上がってそれを楽しめるようになるには膨大な時間と労力が必要だという現実に、多くのプレイヤーが打ちひしがれてしまったのだ。

 

もうひとつの利点としては、判定による勝敗が圧倒的に減ったことだ。リアルタイム対戦は、同点のまま特別延長回を終了すると、安打や三振などをポイント化してその合計によって勝敗を決めるルールがある。スラカット時代は、1、2点を取って守り抜くというのがセオリーだったため、ワンサイドゲームや乱打戦も少なかった。そのため、少ない点数もしくは無得点で引き分けてポイント勝負ということがよくあった。(私の初心者時代の話なので、そういう試合展開の印象が強いだけかもしれないが...)

 

正直な所、このポイント勝負は非常に白けるというのが個人的な意見である。これが少なくなったのはしっかり白黒がつけられるという点で非常に嬉しいことだ。

 

また、逆の視点で考えると、大量失点を喫しても取り返せる可能性が十分にあるのも現環境のメリットと言える。もちろん、逆転のためにはある程度のスキルと、失点してもあきらめない強靭な精神力が必要だが、逆転できる確率は以前より格段に上がっているだろう。

 

 

さて、本来であればここからデメリットを列挙することが筋だが、私はそのつもりは毛頭ない。ここまでこの記事を読んでくださった方に考えて頂きたいのは、各々が置かれている状況やこのゲームのプレイ日数などによってメリットがデメリットになり得る可能性が大いにあるということだ。

 

例えば、打撃操作が以前より簡単で、大量得点が期待できる、という点は打撃操作が苦手なプレイヤーやビギナーにとってデメリットでしかない。乱打戦にも持ち込めないし、初回から大量失点してしまえば、それを取り返すことは、当人たちには非常に難しい。

 

私がここで申し上げたいのは、ここまでメリットとして挙げてきたものは、そのほとんどがデメリットと表裏一体の関係にあり、考え方ひとつでそれが変化するということだ。

 

この文章の冒頭に「リアルさを追求するか、ただの野球ゲームにすぎないのか」というサブタイトルをつけたが、これこそが"考え方ひとつ"の具体的な私の考え方だ。つまり、このゲームにどれだけ野球のリアルさを求めるのかによって現在のリアルタイム対戦の評価ははっきりと分かれると私は思う。

 

これについて具体的な説明は次回行うこととする。

 

【次回 #3 リアル野球ゲームがとるべき立場は?】