今回からのテーマは、"審判員"。カーリング等、セルフジャッジの競技を除いて、ほとんどのスポーツには審判員が必要不可欠である。

 

審判員は、試合で発生する様々なプレーに対して、ルールに基づいてジャッジを下し、試合を円滑に進めることが最大の役割で、もし審判の判定に従うという前提がなくなってしまったら、それは最早スポーツとは言えない。

 

そんな審判員だが、近年、目覚ましいテクノロジーの発達によりスポーツによってはジャッジに機械やロボットの力を用いることも少なくない。野球も例外ではなく、2014年からMLBでチャレンジシステムが、2018年からはNPBでリクエスト制度が導入された。これまで、審判の判定が絶対と言われてきた野球でこのような動きが起きたことは多方面に衝撃を与えると共に、新しい時代の訪れを感じさせた。

 

さて、この文章を読んでくださっている皆様は、審判員について、もっと言うと"ロボット審判"をどのようにお考えだろうか。

 

テニスやバレーボールのチャレンジシステムをはじめ、サッカーではVARとGLTの併用など、最新のテクノロジーを用いて人間のジャッジをアシストすることは世界では当たり前のことになっている。

 

野球界では、チャレンジシステムやリクエスト制度といったビデオを用いてジャッジの再検証を行う仕組みに続いて、投球のストライク・ボール判定をするシステムが近いうちに導入される可能性が高い。アメリカではすでに、独立リーグにおいて試験運用が行われており、今シーズンはマイナーリーグでも数試合試験運用される予定であったことから、MLBでの導入も非常に現実味を帯びてきた。

 

野球、ベースボールにおけるロボット審判の導入には、賛否両論があり様々な議論も巻き起こっている。この議論は後々紹介するとして、とにかく理解していただきたいことは、もしMLBで投球に対するジャッジをロボット審判で行うことになった暁には、その後そう遠くない将来に日本でも導入されることになる可能性が高いということだ。

 

次回からは、ロボット審判員のシステムそのものと、それを導入することによって変わるもの、さらには、人間の審判員の未来がどうなるのかということを多方面から切り込んでいきたいと思う。

 

#2に続く