『摩駆 怒名立奴(まく どなりゅうど)』

古代中国は宋の時代、摩駆(まく)と呼ばれる奴隷がいた。
この者は頭が良かったが、金がないため身を立てることができなかった。
そこで、仕えていた主人に「お願いです、科挙試験を受けるためお金をお貸しください」
と頼んだが、主人は「お前など受かるはずもない」と説明も聞かず突っぱねたため、
摩駆は怒りを感じ、後日奇抜な服装でもう一度頼みに行った。
それは、白く化粧した顔に赤い毛のかつらをする「髪緋設頭(はつぴせつとう)」という手法で己を目立たせ、
さらに「麻竺(まじく)」というインド(天竺)の麻で織った服を着るというものであった。
この容貌は主人を大いに興がらせ、一度だけ摩駆のために金を貸すことにし、 
その後、科挙試験に見事受かった摩駆は借りたお金を倍にして返したと言う。
人々はこの話から奴隷から役人まで成り上がった摩駆のことを「怒りによって名を立てた奴隷」、
すなわち「怒名立奴(どなりゅうど)」と呼び、その行いをたたえた。

また摩駆の格好をすることを、その服から「怒名立奴麻竺(どなりゅうどまじく)」と呼んだが、

あまりに目立ち、さらに当時摩駆以外の者はこんな格好をしていなかったため
この格好で悪さを行い、摩駆に罪をなすりつけようとする者が多く現れた。
子供を誘拐するため窓から室内を覗き人々を恐怖に陥れたり、人混みで両手を上げ「乱乱流(らんらんりゅう)!」と叫んだり、
椅子に座って一物をあらわにし、それを見た者に
「你契不契我?」(訳:やらないか?)と声をかけるなどする犯罪が行われ、
事態を重く見た時の皇帝は
怒名立奴麻竺を禁止したと言う。
それでもしばらくは悪さが続いたが、「熊組」と言う自警団によって取締りが強化されてからは犯罪が減ったとされる。

なお、現代でこのような風貌の者がファーストフード店のマスコットとなっているのはこの摩駆が由来となっているのは確かであるが、
あるインターネット掲示板で同じキャラが「やらないか?」と言っているAAがあったり、クマーに殴られたりしているAAがあるのは
この話が由来なのかどうかは定かではない。

民明書房刊『中国奇人列伝第三巻 茂衆~賢達記』より




※過去、某スレに投下したネタの転載です。
※転載にあたり、改行やわかりづらい文章等を少し修正しました。









過去作品掘り出し9作目です。
元ネタはマクドナルドの狂気のピエロ、ドナルドから。ランランルー!
民明書房タイトルも、「モス〜ケンタッキ」とファストフード店絡みになってます。

ちなみにドナルドってもともとの英語圏ではロナルドっていう名前なんですね。夢の国のアヒルと差別化したのかな…


当時はAA全盛期で、ヌケドと呼ばれたマクドナルドのドナルドがクマーに殴られているAAとかがよくありました。
今はスマホでのブラウジングが主流ですが、これだと数行のAAはズレたり表示し切れなかったりしちゃうので
今ではAAは顔文字以外はほぼ廃れてしまった感があります。
これも歴史か…