『営普利留・富隆(えいふりる ふうりゅう)』

古代中国は春秋時代初期、韋という小国に阿理(あり)と言う名の王子がいた。
阿理は、今で言う「働かざるもの食うべからず」を理想とした王子であり、自らいつも民と一緒に畑仕事をしたという。
阿理には、戦争好きの鬼理(きり)、金好きの義理崇(ぎりすう)という兄たちがいたが、
阿理は鬼理や義理崇が遊び暮らしている間もせっせと働いたため、父の死後王となる事が出来た。
人々は阿理のことを「普通の営みをし、利を留め、富裕の興隆となった」、すなわち「営普利留・富隆(えいふりる ふうりゅう)」と呼び、賞賛したという。

阿理はある時「春祭りの日は嘘をついても許される日だ」と定めたが、実はこれは悪い大臣に騙されたものであり、
次の年の春祭りの日に隣の国が攻めて来るも、韋の国の人々は襲撃の報すらも嘘だと思い戦いの準備をしなかったためあっという間に敗北してしまったという。
阿理も「韋王(いわん)の馬鹿」と呼ばれ、笑われながら処刑されてしまった。
ここから、「営普利留・富隆」は、嘘に騙された人のことを言う事になり、春祭りの日である4月1日とともに末永く伝えられたという。

この故事がエイプリルフールの由来であることは賢明な読者諸君はすでにお気づきのことであろう。
しかし、この故事がギリシャに伝わり、有名なイソップ寓話である「アリとキリギリス」の元ネタとなったことは意外と知られていない。


民明書房刊『騙される方が悪い!?歴史に残る詐欺師たち!〜アンタ、騙られーにら〜』より










エイプリルフールネタと言えばニヤリ
アンナ・カレーニナを騙られーにらとしたタイトルが好きです。