『峰路達臨空(ぼうるだりんく)』

古代中国は漢の時代、まだ未開の地が多かった中国において、僻地の調査は非常に重要であった。
そこで重宝されたのが、躯(からだ)のみを頼りに山や岩場を進むことのできる民、「躯頼民(くらいみん)」と呼ばれた者たちである。
躯頼民の力によって漢はその版図を大きく広げることができ、これが約400年に渡る大国家の基盤となった事は間違いない。

ある時、躯頼民の一派、趨派でも指折りの力を持つ万という者が、誰も登頂に至ったことのない山に挑んだ。
色とりどりの苔に彩られた峰路道(ほうるどう)を進み、岩壁を登り、ついに頂上に至った際、
眼下に広がるその素晴らしい景色を見て万は「峰の路、臨空に達す」、すなわち『峰路達臨空(ぼうるだりんく)』と叫び、
人々にその偉業を成し遂げたことを伝えたという。

昨今、オリンピック競技にもなり知名度が上がってきているクライミングやボルダリングは、この故事が由来である事が明らかである。
なお壁を登る人に対し「ガンバ、ガンバ!」と声をかけることがあるが、これは躯頼民の称号の一つである
「岩覇(がんば、岩壁の覇者という意味)」から来ている事は意外と知られていない。

また趨派の万はこれ以外にも、韋駄天のように素早く走り、蜘蛛のように岩壁を登ったことから、
「蜘蛛男、趨派 韋駄万(すうは いだまん)」や「超人、趨派 万(すうは まん)」と呼ばれた逸話が残っており
アメコミヒーローとの関係性について研究が盛んに行われている事は賢明な読者のご推察の通りである。


民明書房刊『あなたもできるボルダリング 〜壁とホールドと私〜』より





小島よしおさんもハマってる!


友人の意見により、馴れ初めその1から民明書房部分を分割してみました。個人的には岩覇のくだりが好きですグラサン
民明書房って何?と言う人は検索してみてください。

ボルダリング系記事が毎回結構書くことたっぷりですぐ更新できないので、つれづれ日記と共に時々ネタとして(気晴らしに?)書くかもしれません。

追伸:トポの由来の文献も発見されたので紹介しておきます。