大晦日に日本各地で「ジルベスターコンサート」(Silvesterkonzert)が開催されます。silvester(大晦日)とkonzert(コンサート)の複合語で、ドイツで昔から大晦日に行われているコンサートです。ドイツではBPO(ベルリン・フィル)のジルベスターコンサートが有名です。


さて、「2023−2024東急ジルベスターコンサート」を初めて聴きに行きました。指揮者は小林研一郎、オーケストラは東京フィル(TPO、ではさすがに通じないか)。毎年、大晦日の夜に開催される年越しコンサートです。第二部はテレビ(テレ東系列)で生中継されます。


「午前0時丁度に曲を終了させる」という(趣味の悪い)イベントを毎回やっています。今回そのカウントダウン曲に選ばれたのは、チャイ5第4楽章。2023年1月〜3月に放送されたドラマでも使われたので聴き覚えのある人は多いと思います。

 12/30(土)のテレ東系列「エンター・ザ・ミュージック」で、藤岡幸夫とコバケンの対談を紹介してましたが、今回チャイ5を選んだ理由として、(コバケンの十八番であることはさておき)、「平和」というのを口にしていました。ちょっと脱線しますが、対談では、師匠のマエストロを前にして、藤岡が舞い上がってしまい、同時に恐縮しきりで、とても嬉しそうにしていたのが、とても可笑しかったです。


ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ地区侵攻を受けて、一昨年からクラシックのコンサートで、平和を祈念する選曲やマエストロの言葉を聞くことが増えました。著名な音楽家は世界各地で演奏会をやってきたから、一般の人よりもずっと世界平和に対する思いが強いのかも知れません。


さて、チャイ5第4楽章。冒頭はゆったりとしていて荘重荘厳な感じですが(大好きです)、途中からテンポがよくなって、タイミングを合わせるどころではありません。


テレビを観ていると毎年、0時丁度にクラッカーのパーン!という音が鳴り響き、紙吹雪が舞い散ります。実はホールでも実際にそのクラッカーの音が鳴るのです。結局、演奏は約1秒はみ出してしまって、マエストロも「行っちゃいましたかね?」と言ってましたが、0時丁度に終わらせることに何の意味があるのでしょう?


会場ではCM中に狩野アナが、「押したり巻いたり大変だった」とネタばらしをしてましたが、1分ぐらい前後しても何の問題もありません。クラッカーの音なんか下品で興ざめです。とはいえ、素晴らしい演奏でした。


カウントダウン曲が終わると、東京フィルのメンバーはいろんなデコレーションを頭に乗っけたりしてその後の曲を演奏します。壇上向かって右一番手前の首席ヴィオラの席に座るのは須田祥子さん。人気者ですね。一昨年はうさぎの被りもの、今回は龍の被りもの、期待通りでした。あれ、市販されてるのかな?手作り?


他には、ヴァイオリンの周防亮介、テノールの笛田博昭、ピアノの松田華音、皆素晴らしかったです。


そして、最後のアンコール曲は、お決まりの「ラデツキー行進曲」。これは、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートの最後に毎回演奏される曲です。ラデツキー将軍を称える曲でオーストリアの人にとっては特別な曲です。それを日本でも真似しているわけです。


ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートは毎年元日夜にNHKで生中継されます。(追記:今夜の放送は地震のためキャンセルになりました)最後のラデツキー行進曲の時には、聴衆は手拍子をします。曲に合わせて手拍子の強弱も変えます。今回のジルベスターコンサートでも聴衆はその通りにしていました。皆さんよく御存知ですね。


メイン・パーソナリティーは一昨年に続き、俳優の高橋克典さん。第一部でのトークが面白かったです。昨年は自分も「チェロの演奏を始めた」と。「毒舌のバイオリニストに言われて」「ザワつくんです」と。狩野アナが「T嶋さんですね?」と突っ込んだりして。会場では大ウケでした。


それにしても、楽しい一夜でした。高いお金を払ったかいがありました。


一昨年夏に倒れてからは、あまり動けないので、映画を観たり、クラシックのコンサートを聴きに行くことが多くなりました。気にし始めると、テレビでもクラシック関連番組が多数あることに気付かされます。昨年は、上に書いたドラマもあれば、NHKではアニメも放映されました。自宅では落ち着いて音楽を聴く時間もないので、清塚信也のカジュアルな音楽番組を観たり。読響プレミアなんかもいいですね。


 

ちなみに、今回のような立派なホールで、プロのオーケストラの演奏を聴くのは、年に一度と決めています。


普段は、小さなホール(それでも、松田華音さんとか著名なアーティストが来ます)でアカデミアの発表会を聴いたり、音大のホールでオケアカのコンサートなどを聴いてます。将棋でもスポーツでも何でも若い人を応援しているので。


アカデミアといっても、講師の須田祥子が共演したり、オケアカも、荒井英治がコンマスとして弾いたり、尾高忠明が振ったり。まぁ豪華だし、トークも興味深いです。皆将来が期待されます。今年は日曜に野暮用を入れてしまったので、行く機会が減りそうで残念。