8月にカワイ表参道で行われた国立モスクワ
音楽院教授たちによる
ピアノ・マスタークラスの感想を
備忘録的にまとめたいと思います。
アンドレイ・ピサレフ教授による
公開レッスン
ドゥムカOp.59/ チャイコフスキー
・メロディーを弾くとき一音一音を下に
弾きすぎず、横にのばしていくように
鍵盤を押しすぎない
・小さなはやい音は速いけれど
ていねいに歌う
・クレッシェンドはアグレッシブにならず、
何かが開いていくように
・左手上声に出てくるメロディーは
旋律一本になるように
ブツ切りにならない
・和音重音の連続でメロディーを歌うとき、
単音と同じように横につなげる
・何気なく弾く四和音のなかにも
より大切にしたい音がある
・クレッシェンドは初めは弱く(初歩的)
・速い32分音符でもすべての音を全部弾く
(響かせる)場合もある
前奏曲『鐘』Op.3-2/ラフマニノフ
・ffは叩かない
・オクターブのユニゾンは響きが垂直に
ならないように横につなげる
一音一音が座り込まない
・和音同士で横のラインを作る
・>アクセントは強いというより
イントネーションをつけていく
・最後の音pppは響きといっしょに手を離す
ピアノソナタ3番Op.58より
第1.4楽章/ショパン
第1楽章
・和音同士をつなげて旋律を歌わせる
手の力を抜いた方が柔らかい和音になる
・旋律の最後までよく聴く
・クレッシェンドの最初は弱く
・旋律線は横につなげる
・全部の音に表情をつけて
・腕を乗せる、叩かない、押しすぎない
・伴奏がうるさくならない
・手首を呼吸させる
第4楽章
・よく聴いてから次の音を弾く
・ 6/8の裏拍3と6はうるさくならない
・アジタート、落ち着かない、不安定、
前へ進む、でも少し自由に
・同じモティーフからできているフレーズ
は全部のフレーズが異なるように表現する
・左ハーモニーを担当するアルペジオ、右手
旋律をじゃましない
・右手の旋律、速いパッセージは
弾き流さないで一音一音をていねいに
・左和音に含まれる旋律の音を出す
私の感想
とにもかくにも旋律、メロディー、歌
を大切にすることを特に強調されていました。
本来、打楽器であるピアノを歌わせるのが
どれほど難しいことかを痛感しました。
和音、重音を横につないで歌わせるのは
手のそれほど大きくない日本女性には
殊に至難のわざですが、
演奏技術テクニックそのものよりも
そもそも、その旋律を心の中から歌いたい
感性があるのかないのか
それが一番大切な事
ではないかと思いました。
楽譜をよく読み込み、そこから自分は何を
感じ取り表現したいのか?
自問自答と実践のくりかえしが
ピアノの練習ではないかと思います。