「な、何言って……
こんな時に……」
「こんな時だからよ。
出撃したら死ぬかも知れない。
相手が別の地球だとわかったら戦意が喪失するかも知れない。
【コア・イーター】がどんな力を持っているかもわからない。
あるのは不安だらけ。
そんな時、私がすがれるのは恋する気持ち。
君は私の相手に選ばれたんだぞ。
誇りに思いなさい」
「こ、恋って……」
「こらっ。
女の子が勇気を出して、ここまで言ってるんだぞ。
少しは素直になってよ。
じゃないと……
涙がでちゃうんだから……」
「な、泣くなよ。
お、俺はどうすれば良いのか……
こういうの慣れてなくて……」
「抱きしめて。
ぎゅっとね。
そして安心させて。
これから出撃するのを覚悟出来る様にして」
「ど、どうすれば……
と、とにかく、抱けば良いんだな?
じゃ、じゃあ、抱くぞ。
い、良いんだな?」
「ばか……
いちいち断らないでしょ。
黙ってやって。
そっとね」
「そっと?
ぎゅっとじゃないのか?」
「それくらい自分で考えなさい」
「………」
【凌斗】は黙って、【美杏】を抱き寄せ、おでこにキスをした。
それが、精一杯の勇気だった。
続きます。