それには、批難の視線があった。
 その視線は【凌斗】にとっては耐えられないものだった。
 その日の夜、彼はそのまま【養護施設】から出た。
 大人は信用出来ない。
 その強い不信感を持って。
 その後の彼は盗みをしてその日の食事を確保する様な生活を続けていた。
 同じ境遇の仲間とつるむ事もあった。
 だが、その時も、裏切られ、彼は、ますます人間不信に陥って行ったのだった。
 彼が、捕まり、少年院に移送され、そこから適正検査を受けて、【エントロピア】の適正が確認されるまで、愛情を持って接してもらった事など、ほとんど無かった。
 だから、人間が嫌いだった。
 ずっと信用出来なかった。
 だけど、【美杏】や【珠紀】と不器用ながら接する事によって、昔の素直な自分を取り戻すとまではいかないまでも、少し優しい気持ちになれた。
 そんな感じがしていた。
 【残違(ざんい)】は、そんな、【凌斗】の古傷をえぐる様な形で、【精神攻撃】を仕掛けて来た。
 【凌斗】は、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
 と叫ぶ。
 【美杏】は、
「どうしたの?
 【凌斗】君?
 【凌斗】君!
 しっかりして」
 と言う。

続きます。