娘のためならば何でもする【天運】は自分に相談されないで弟に相談される事が不満なのだ。
 【千愛姫】は迷った。
 父に言えば、父は激怒するかも知れない。
 【千愛姫】の事を溺愛しているので、その思い人の相談など……
 それよりも城を抜け出して【お美津】として行動して居たことがばれたら監視を強められるかも知れない。
 だが、考え直した。
 自分のことよりもまずは、【庄助】の身の安否だ。
 非常時に自分の保身の事を考えている場合じゃないと考えなおした。
 そして、少し悩み、
「……では父上。
 父上に相談したき儀がございまする。
 よろしいでしょうか?」
 と言った。
 【天運】は、にっこりと笑い、
「よく言うた。
 天奉よりも父の方が役に立つぞ。
 それを証明してやろう。
 ほれっ。
 何でも申してみるが良い」
 と言った。
 【千愛姫】は、
「では、申します。
 その……探して欲しい人物がおります」
 と言った。
 【天運】は、
「うむ。
 たずね人か?
 誰じゃ?
 誰を捜して欲しいのじゃ?」
 と聞いた。
「10歳くらいの男の子です。
 名前は【庄助】。
 盲目の少年です」
「【庄助】?
 はて……?
 その様な家臣の倅、おったかのぅ?」
「家臣ではございませぬ。
 町民の。
 町民の子供でございまする」
「ほう。
 町民とな?
 して、なぜ、そなたがその町民の子を知っておるのじゃ?
 町との接点は無いはずであろう?」
「それは、その……
 こっそり……出向いておりました。
 そこで、知り合うて……」

続きます。