【お美津/千愛姫】は、近くに居た人に、
「あのぅ。
 この辺りに10歳くらいの男の子居ませんでしたか?
 杖をついている……」
 と聞いた。
 聞かれた人は、
「杖をついている子?
 さぁねぇ……
 どうだろ?
 そんな子居たっけか?」
 と答えた。
 【お美津/千愛姫】は、
「な、何を言って居るんですか?
 いつも、この辺りで座っていたじゃないですか?
 私が教えた。
 教えてた事柄を復唱して。
 勉強熱心で。
 健気で。
 真面目で。
 可愛らしくって……」
 と言った。
 聞かれた人は、
「そう言われてもねぇ……
 記憶にないって言うかねぇ。
 あんた、そんな子いったっけか?」
 と旦那さんだと思われる男性に話しかけた。
 旦那さんは、
「いやぁ、
 覚えてねぇなぁ。
 そんな特徴的な子がいたら覚えているんだけどなぁ。
 俺達見たことあったかなぁ?」
 と言っていた。
 【お美津/千愛姫】は、
「何をおっしゃってるんですか?
 あなた、前に【庄助】君におまんじゅうあげてたじゃないですか?
 何で?
 何で覚えてないんですか?」
 と詰め寄った。
 そう。
 旦那さんは、前に【庄助】に饅頭を渡し、
「おめえら、喰うか?
 うめぇぞぉ~」
 と言っていた。
 確かに言っていたのだ。
 そう、記憶している。
 【庄助】との大切な思い出の1つだ。
 【お美津/千愛姫】も、一緒に饅頭をもらい、

続きます。