【望月 秋馬/剣客鬼】は、
「ま、参った。
降参です」
と負けを認めた。
今回も勝負は一瞬だった。
だが、今回の場合は三日前の勝負とはまるで違っている。
三日前もほぼ一瞬で勝負がついている。
だが、同じ一瞬でも今回の場合は、【望月 秋馬/剣客鬼】は相手である【千愛姫/至瞬鬼】の実力をある程度、理解した上での敗北宣言なのだ。
前回の様に、自分たちに何が起きたかも理解しないまま、一瞬にして吹き飛ばされた様な無様な敗北とは雲泥の差と言える内容だった。
【望月 秋馬】の敗北により、次は【次鋒】である【北島 僚(きたじま りょう)】だ。
【北島 僚】は、
「………」
と無口だったが、ぺこりとお辞儀をした。
そして、そのまま、戦闘態勢にはいる。
どうやら、【千愛姫】と同様に【無詠唱】で【憑依】出来るタイプの様だ。
ちなみに、【北島 僚】が【憑依】させたのは、【階段曼荼羅(かいだんまんだら)】第五段(だいごだん)妄漁鬼(もうりょうき)だ。
どうやら、海の幻覚を見せる【鬼】の様だ。
幻覚術で、【千愛姫】を惑わそうとしている。
だが、【千愛姫】は、
「幻覚蘭(げんかくらん)!」
と唱えた。
今度は【憑依】では無く、【召喚】だった。
【千愛姫】の強みは【憑依】だけではない。
【召喚】も【融合】も自由自在に使いこなすのだ。
【憑依】、【召喚】、【融合】で、それぞれ、他者を圧倒する。
それ故、【最強の戦姫(いくさひめ)】と呼ばれているのだった。
【千愛姫】が呼び出した【幻覚蘭】とは、(03)物の怪(もののけ)の一種だ。
ランクで言えば、【北島 僚】が憑依させた【妄漁鬼】の方が格上である。
だが、ここでも【千愛姫】の特徴がある。
【千愛姫】は呼び出した存在の力を【100パーセント】引き出せるどころか、【300パーセント】の【力】にまで引き上げる事が出来るのだ。
当然、仮に【北島 僚】が【妄漁鬼】の【力】を【100パーセント】引き出したとしても、格下の【幻覚蘭】の【力】を【300パーセント】まで引き出せた【千愛姫】の方が有利に事を運んだのであった。
続きます。