【千愛姫】は、
「………
少しは礼儀をわきまえているようじゃな。
3日前の世間知らずよりはいくらかましな様だ」
と言った。
【千愛姫】は一目でわかった。
【豪月藩】の選手は、3日前の【猛月藩】の選手とは全く違う事に。
少なくとも【猛月藩】の選手のように闇雲に【千愛姫】に突っ込んで行って瞬殺される様なでくの坊の集まりでは無いことを見抜いていた。
【千愛姫】は、
「少しは本気になった方が良さそうじゃな。
油断しているともしもの事も……あるかも知れぬ」
と言った。
これは、【千愛姫】の最大の賛辞でもあった。
【望月 秋馬】という男を認めたと言うことだ。
【望月 秋馬】は、
「むん。
私は【螺旋曼荼羅(らせんまんだら)】第五巡(だいごじゅん)剣客鬼(けんかくき)。
いざ参る」
と唱えた。
今回は1回のみだ。
それだけ、自己暗示が確かだと言うことになる。
【千愛姫】は、唱える事はしないまでも、既に【憑依】をさせている。
一日目の闘いで5人抜きして見せた【波紋曼荼羅(はもんまんだら)】第四郭(だいよんかく)【至瞬鬼(ししゅんき)】である。
通常は一度出すと、二度目の試合以降は【至瞬鬼】を出すことは叶わないのだが、【千愛姫】の場合、【相性縁(あいしょうえん)】を10分割する事が出来るのである。
そのため、【千愛姫】は同じ【至瞬鬼】を10回連続で【憑依】させる事が可能なのである。
しかも、半日もあれば、【相性縁】は100パーセント回復するのだ。
つまり、ほぼ【憑依】させ放題と言うことになる。
もちろん、【千愛姫】が【憑依】させられるのは【至瞬鬼】だけではなく、現存している三種類の【曼荼羅】ほぼ全ての存在が【憑依】可能となっている。
それだけにキャパシティーも半端ではないのだ。
ほぼ反則、チートとも言える【三闘技】への相性。
それを天より授かっているのが、【千愛姫】と言う女性だった。
【望月 秋馬/剣客鬼】対【千愛姫/至瞬鬼】の勝負は一瞬だった。
続きます。