「うん。
 そうだね。
 ありがとね。
 実はね。
 お姉さんのお兄さん。
 お婿さんに行っちゃったんだ」
「そうなんですか?
 お兄さんがいらっしゃったんですか?」
「うん。
 そうなんだ。
 だからね。
 会えなくなっちゃって……」
「遠いところに行かれたのですか?」
「うん。
 遠いところ。
 遠い遠いところ。
 滅多に会えなくなるくらい遠い所。
 だから、ちょっと悲しくてね。
 ごめんね。
 ホントにごめんね」
「何でお姉さんが謝るんですか?
 お姉さんは何も悪いことしてないじゃないですか」
「うん。
 そうなんだけど、【庄助】君に心配かけたから……」
「そんな事、大丈夫です。
 僕はお姉さんの事を大切に思っています。
 だから、お姉さんが悲しいと僕も悲しいです」
「うん。
 ありがとね。
 本当にありがとね。
 じゃあ、ちょっと抱きついて良い?
 ぬくもりを感じたいの」
「ぬくもり……ですか?
 わかりました。
 僕で良かったら、いくらでも抱きついてください。
 どうぞっ」
「うん。
 ありがと。
 じゃあ……」
 と言って、【お美津/千愛姫】は【庄助】に抱擁した。
 【幸士郎】と離ればなれになってしまったのは辛い事ではあるが、その【幸士郎】のおかげで大好きな【庄助】と抱擁出来る。
 それだけは感謝するのだった。

続きます。