「ごめんね、【長】さん。
 私、そんな気分じゃないんだ。
 ちょっとね、悲しい気分なんだよね。
 いつも気に掛けてくれているのにホントにごめんね」
 と答えていた。
 【町民】達もいつもの返答じゃないのに困惑顔だ。
 それは【お美津/千愛姫】自身がわかっている。
 こんな顔では【庄助】に会いに行けない。
 【庄助】は盲目だが、雰囲気ですぐに【お美津/千愛姫】の異変に気付くだろう。
 だが、【庄助】の顔は見たい。
 【庄助】の顔を見て元気を取り戻したい。
 【行きたい】けど【行けない】、
 【行けない】けど【行きたい】、
 そんな葛藤が【お美津/千愛姫】の中であった。
 あれこれ悩んでいると、向こうから【庄助】が歩いて来た。
 【庄助】は、
「………【お美津】お姉さんですか?
 何だか寂しそうな感じで、いつもと……」
 と言ってきた。
 やはり、【お美津/千愛姫】の雰囲気がいつもと違う事に気付いているのだ。
 【お美津/千愛姫】は、
「【庄助】君。
 こんにちは。
 何でも無いよ。
 何でも無いから」
 と言うが、【庄助】は、
「お言葉ですが、何でもなくはないと思います。
 なんだか、お姉さん、今にも泣きそうです。
 僕で良かったら、話してくれませんか?
 誰かに話すと少しスッキリすると言いますよ」
 と言った。
 相変わらず心優しい少年である。
 【お美津/千愛姫】は、
「うん。
 心配かけてごめんね。
 ごめん……」
 と言った。
「いつも相談に乗ってもらっているんです。
 こんな時くらいは僕も役に立ちたいです。
 何でも言ってください。
 そしてスッキリしてください。
 お姉さんが辛いと僕も辛いです。
 僕は小さくて、まだ頼りにならないかもしれませんが、出来る限り相談に乗りますので何でも言ってください」

続きます。