あくまでも【棚からぼた餅】的な【あぶく銭】は受け取ろうとはしないのだ。
 生真面目。
 融通が利かない。
 そう言う言い方も出来る。
 だが、真面目に生きている【庄助】の生き方を否定する事は【お美津/千愛姫】には出来なかったのである。
 【お美津/千愛姫】は、
(あぁ。
 この健気な少年に天の幸あれ。
 どうして、この子の目を見えなくしたのじゃ。
 神や御仏も気が利かぬな。
 どうか。
 どうか、少しでも早くこの子の目が見える様になりますように)
 と思っていた。
 【お美津/千愛姫】はまず、自分の美しい姿を【庄助】に見てもらいたかった。
 廻りは【お美津/千愛姫】の事を、
「綺麗ですね」
「お美しい」
「別嬪さんだ」
「麗しい」
「素敵だ」
「なんて美しいんだ」
「愛らしい」
 等と賞賛するが、そんな事を聞いても嬉しくも何とも無かった。
 その言葉を本当に言って欲しいのは【庄助】だけだ。
 後の有象無象に言われても何とも思わなかったのだった。
 【お美津/千愛姫】の思い人は【庄助】。
 それだけだった。


第三章 闘月家の事情


 【闘月家】の当主、【闘月 天運】に【正妻】の【美波】が話しかけていた。
 【美波】は、
「殿……
 【千愛】の事ですが……」
 と言った。
 【天運】は、
「おぉ。
 【千愛】の事か。
 いかがしたのじゃ?」
 と聞いた。

続きます。