「ごめんね、【長】さん。
 私、好きな人居るのよ。
 気持ちはありがとうね。
 ホントにごめんね」
 と答えていた。
 神出鬼没の【お美津(千愛姫)】はその美貌から【町】の人気者だった。
 みんな彼女を見かけると気さくに声をかけてくるのだ。
 まさか、【お美津】が【絶世の美女】と噂の【千愛姫】だとは【町人】達は夢にも思っていなかった。
 そんな【お美津】だが、【長】さんに言った様に【好きな人】が居た。
 そのうらやましい【男性】は――
「あ……
 【お美津】お姉さん。
 こんにちは」
 と答えた。
 【お美津/千愛姫】は、
「あら、【庄助(しょうすけ)】君。
 私が来たのがわかるの?」
 と答えた。
 【庄助】は、
「はい。
 わかります。
 お姉さんが来ると廻りが華やいだ気配になるので」
 と答えた。
 【庄助】とは、【盲目】の少年だった。
 生来目が見えず、ずっと【白い杖】をついて生活していた。
 目が見えないと言うことで、色んな差別を受けて来たが、それでもまっすぐに育っていた。
 そんな【庄助】少年を最初に見かけたのは、【千愛姫】が遠めがねで城から【城下町】を眺めていた時だった。
 そこに【庄助】少年は杖をついてあるいて居た。
 【一目惚れ】だった。
 年頃の女性が小さな男の子に?
 いや。
 そんな事は関係無かった。
 【千愛姫】は、【神域】に達している【武人】でもあったため、【相手】の【気】を読む事が出来た。
 それで、ある程度、相手の【力量】や【性格】が読み取れた。
 そんな彼女が【庄助】少年で見た【気】はとても美しいものだった。
 純粋で、まっすぐな汚れのない【純白】の【気】だった。
 その【気】を見た途端、【千愛姫】は【庄助】少年に夢中になった。
 その頃に進められた【縁談】を全て【破談】にし、町に繰り出す様になったのだった。
 偶然を装い、【庄助】と知り合いになったのだった。
 自分が【千愛姫】だとわかると動揺してしまうと思った彼女は【お美津】と言う【町人】の名前を名乗って会いに来ていた。

続きます。