逃走計画がバレてしまったので、思いっきり動揺している。
 【春日井氏】は、【念話】で、
(ちぇ、【チェルシー】君。
 【チェルシー】君。
 緊急事態だ。
 ど、どうしたら良い?
 どうしたら、この状況を抜けられる?)
 と伝えた。
 【チェルシー】は、
(ご主人様。
 毎回同じパターンで逃げられないと言う事にゃん。
 たまには逃げ方を変えないと。
 どうやら、いつも【手紙】を残して消えるという噂が広まっている様だにゃん。
 【手紙】パターンはもう、使えないにゃん。
 別の方法を考えないと)
 と伝える。
 【春日井氏】は、
(そそそ、それを考えてくれ。
 僕は思いつかない。
 このままでは僕の貞操が……)
 と伝えて涙目になる。
 【チェルシー】は、
(諦めるにゃん。
 私にも何も思いつかないにゃん。
 なるようになるにゃん)
 と伝えた。
 【春日井氏】は、
「【チェルシー】君の薄情者ぉ~」
 と言った。
 こうして、【春日井氏】の【逃走計画】は明るみに出たが、【三大書】と【書の魔王】を倒し、【女性陣】の誰が【春日井氏】と【初体験】するのかと言う争いのどさくさで何とか逃げられたのであった。
 逃げた【春日井氏】は、
「怖い。
 怖いよぉ~。
 女の人怖いよぉ~」
 と言った。
 【チェルシー】は、
「しょうがないにゃん。
 ご主人様、有能だし、綺麗にゃん。
 巻き込まれ体質だから、これが運命だと思って諦めるにゃん。
 誰かとくっつけば、狙われる事もないにゃんよ?」
 と言う。
「僕は【古都】さんみたいな女性が好きなんだ。
 言い寄ってくるのはみんな派手な女性ばかりじゃないか」
「そういう女の子を惹きつけるチャラい顔しているにゃんよ、ご主人様。
 ひょっとして自覚無かったにゃん?」
「僕は地味な顔が好きなんだ。
 地味にさせてくれ」
「それはむりにゃんね。
 どう、いじくってもご主人様、美形だし」
 【春日井 清俊(かすがい きよとし)】――彼の人生はこれからも【女性】につきまとわられ、【魔王討伐】を繰り返していくことになるだろう。
 彼は寿命で亡くなる98歳まで、繰り返し、【魔王討伐】と【女難】を体験して行くことになる。
 それが彼の人生。
 【プロフェッサー春日井氏の巻き込まれ人生】なのだった。


完。