理由(わけ)があって、その女性を捜さなくてはなりません。
 皆様にこの負担をかけさせる訳には行かないと思い、無言で立ち去る事にしました。
 皆様の活躍――遠い彼の地よりお祈りしております。
 さようなら。
 ありがとうございました】
 にしてくれないかい?)
(ご主人様、
 相変わらず、文才ないにゃん。
 全く心がこもってないから、内容がスカスカにゃん)
(それは別に良いんだよ。
 とにかく、建前として、このパーティーから抜けられれば)
(そうにゃんねぇ。
 後はタイミングを見計らってとんずらを決めるにゃん)
 と言う【念話】をしていた。
 ここから、【春日井氏】は【エスケープモード】だった。
 タイミング良く逃げる事しか考えていない。
 【ハンナ】の
「どうしたの、君?
 何だか上の空の様な感じだけど……」
 と言う突っ込みに、【春日井氏】は、
「う、
 あ、
 そ、そうかな?
 そんな事無いんじゃないかな?」
 とどもった。
 【ハンナ】は、
「そうかな?
 何だか、怪しいなぁ……
 まさか、抜けるつもりじゃないよねぇ?」
 と言った。
 【春日井氏】はギクッとなった。
 図星をつかれたからだ。
 【春日井氏】は、
「な、ななな、何のことかな?
 僕にはさっぱりだよ。
 何を言っているのか……
 ははは。
 はは、
 は……はは……
 はぁ……」
 と言った。
 明らかに動揺しているのがバレバレだった。
 【ハンナ】は、少し考え、
「ちょっと……
 みんな……」
 と言った。
 その言葉に、
 【アリア】、
 【クレア】、
 【ユリア】、
 【エレナ】が反応する。
 【エレナ】は、
「ねぇ、知ってるぅ?
 脱走は【死刑】なのよ。
 わかるぅ?
 【死刑】。
 今更抜けられると思わないでねぇ。
 ねぇ【清俊】さぁん」
 と笑って言った。
 だが、目が笑ってない。
 獲物は逃がさないとばかりの目で睨んでいる。
 【アリア】も、
「ここで死ぬのと、私達の中の誰かを選ぶのと……
 どっちが良い?」
 とドスの利いた声で言ってきた。
 【クレア】が、
「知ってるのよ、私達は。
 あなたが、【魔王】を倒した後、消える男だって。
 有名よ。
 【とんずらプロフェッサー】って。
 私達が逃がすと思う?
 に・が・さ・な・い・わ・よぉ~
 ねぇ、愛しい人」
 【春日井氏】は、
「ききき、君達ぃ……
 君達、少し落ち着いて。
 落ち着いて話しをしよう」
 と言った。

続きます。