「そうじゃ。
 知らぬなら話して聞かせてやろう。
 あれはそうじゃなぁ。
 とある【勇者】のパーティーを全滅させたエピソードじゃ。
 ワシは【怪獣】軍団を操り、あっという間に【勇者】達を殲滅したのじゃ。
 他にもあるぞ。
 別のとある【屈強な戦士】をワシがプロデュースした【怪物】が瞬殺したのじゃ。
 他にもある。
 ふふふ。
 ワシに逆らった者達の中に【伝説の勇者】と呼ばれる者がおったのじゃが、ワシの操る【武者軍団】がそやつを返り討ちにしたのじゃ」
『それは真か?』
「うむ。
 真じゃ。
 嘘偽りの無い、真の事実じゃ。
 【勇者】の奴らはしっぽまいて逃げ出しておったわ」
 と言う話をしていた。
 もちろん、【白樺教授】の【嘘】である。
 【しっぽまいて逃げ出した】のは【勇者】では無く、【教授】自身だ。
 【白樺教授】は、立場を入れ替えて話していたのだ。
 【白樺教授】の活躍はむしろしてやられた【教授】自身の敗北の歴史の裏返しだった。
 だが、【妄想】に取り憑かれている【白樺教授】は自分の勝利を疑っていない。
 本当に勝利していると信じ込んでいる。
 その嘘偽りの無い――と思っている【白樺教授】の態度に【魔王】も騙されてしまうのだ。
 その後も【白樺教授】の猛烈アピールが続き、【魔王】は、
『よかろう。
 それほど言うのであれば、試してやる。
 貴様は、【天才軍師】なのだな?
 我が、【夢魔軍団】を任せよう。
 見事、【勇者】を討ち取ってみせよ。
 【勇者】の首を持ち帰ったあかつきには、貴様の望み通り、【若い男】の肉体を与えてやろう』
 と言った。
 【魔王】相手に自信たっぷりの【白樺教授】を【魔王】は信じる事にしたのである。
 【白樺教授】は、
「良かろう。
 【天才軍師】の力。
 しかと見るがよかろう。
 約束。
 努々、忘れるでないぞ」
 と言った。
 【白樺教授】は、
(ふふふ。
 仕掛けは既にしてある。
 あの忌々しい【春日井 清俊(かすがい きよとし)】さえ、参加して居なければ、ワシは勝てる。
 そのために、わざわざ最初に奴の胸くそ悪い顔を拝みに行ったのじゃ)
 とほくそ笑んでいた。
 だが、その【春日井氏】は既に【勇者パーティー】に参加している。
 そもそも、【春日井氏】が【白樺教授】の思い通りに行動した事など一度もない。
 【釘を刺した】つもりでも全く意味がなかった。
 【春日井氏】は巻き込まれてしまうのであって、自ら参加しているのではない。
 そう言う意味では【春日井氏】の事を全くわかっていなかった。
 【白樺教授】は【夢魔軍団】を指揮して、【勇者パーティー】の元に着いた。

続きます。