子供から、
「ねぇ。
 この【水鉄砲】、あんまり飛ばないんだけど、お兄ちゃんもっと飛ぶようにしてよ」
 と言われて作ったのがこの【銃】だ。
 どれだけ【圧力】をかけられるかを研究し、子供では遊べないレベルの強力な【ウォーターガン】になってしまった。
 これはいつか【チェルシー】と遊ぶときに使おうと思って持ってきたのだが、役に立った様だ。
 【圧縮銃】に込めて発射した【混合液】は【黒の波動】を突き破り、【黒の魔王】にかかった。
 すると、
 シュワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ……
 と言う音を立ててみるみる溶けて行く。
 【黒の魔王】は、
『我の……
 我の身体が溶けて行く。
 我の……
 わ……』
 と言ったのを最後に完全に分解された。
 残ったのは原材料の原液とボロボロになった【彫刻】がくっついた【絵画】だけになった。
 もはや、それに【黒の魔王】としての【力】は残っていない。
 【黒の魔王】は完全に浄化されたのだ。
 こうして、【彫刻画女傑】達の勝利となり、何百年にもわたって受け継がれてきた宿命は終わったのだった。
 何百年もかかった割には【春日井氏】が関わったとたんにあっさりとしたものとなったのだった。
 【紅礼緒】は、
「やった。
 やったよ。
 マジでやった。
 これで、私達は自由だぁ。
 ねぇ、ダーリン。
 あれっ?
 だー……リン?」
 と言った。
 喜んでキスでもしようと思ったのに、その相手となる【春日井氏】が居ない。
 気付いたら居なかった。
 後に残されたのは一枚の手紙だった。
 手紙には、
【僕は過去の人間です。
 【黒の魔王】も居なくなった事で、過去の時代に戻ります。
 さようなら。
 お幸せに。
 【春日井 清俊】】
 と書かれていた。

続きます。