【鈴羅】は当然、【古都】に【彫刻画】を作らせていたので、実力は全くない。
 そんな状態で、他の6名と合流し、他の仲間に、彼女が偽者だと【看破(かんぱ)】されてしまったのだ。
 その場は、何とか別行動を取ろうと言うことになって、おさまったが、【偽者】の烙印を押された【鈴羅】は虫の居所が悪くなった。
 それで、【古都】に当たり散らしていたのだ。
 【古都】は【鈴羅】の代わりに実力を付けてしまった事を悔やみ、自害しようとしていたらしい。
 【春日井氏】は、
「君は、全然、悪くないじゃないか。
 むしろ、そのお嬢様こそ、自分の怠惰を反省すべきだ。
 何でも【古都】さんにやらせて、自分は何もしない。
 そんなの間違っている」
 と言った。
 【古都】は、
「私はお嬢様の家にお世話になった立場ですので、お嬢様を立てるのは当たり前の事です。
 なのに……」
 と言って、また、身を乗り出そうとしていた。
 それを止めて、【春日井氏】は、
「わかった。
 その【彫刻画の魔王】ってやつを倒す手伝いをするよ。
 手柄はそのお嬢様に渡すよ。
 それで、君の宿命とやらからは解放されるんだね。
 その後――
 ぼぼぼ、僕と一緒に……
 く、暮らしませんか?
 あぁ……言っちゃった。
 は、恥ずかしい」
 と言った。
 【古都】は、
「あの……
 私なんかでよろしいのですか?
 あなた様はその……おモテになるのではありませんか?
 私なんかの相手をするより……」
 と言った。
「そんな事はありません。
 僕は君の事が気になっています。
 出来ればおつきあいしたい。
 だけど、僕は口下手で。
 段取りを飛ばしてしまっていきなり暮らしませんかだなんて、失礼な事を言ってしまったけど、出来たらあなたとおつきあいしたいと言いますか……
 何と言いますか……
 その……
 こんな気持ちになるのは初めてで……」

続きます。