その日の夜、【甲板】から身を投げようとしている【古都】を発見、
「ま、待って……
早まっちゃ駄目だ。
待って、
待って、
待ってぇ」
と言って、咄嗟に救助アイテム、【吸引ゴム】を使って救出した。
【古都】は、
「うぅぅ……
死なせてください。
お願いします」
と泣きながら訴える。
【春日井氏】は、
「ななな、何を言っているんだい。
君のような女性が身を投げるなんてもったいない」
と言った。
【古都】は、
「私が居るから。
私が存在しているからお嬢様は選ばれなかったのです。
ですから、死なせてください。
お願いします」
と言った。
【春日井氏】は、
「訳を聞かせてください。
訳も聞かずにあなたを死なせる訳には行きません」
と言った。
【古都】は、少し考え、
「くすん……
わかりました。
お話します」
と言って事情を話してくれる事になった。
彼女の話によると、彼女の名前は【古都】と言って、身寄りのない孤児(みなしご)として親に捨てられ、【彫刻画師(ちょうこくがし)】の男性に引き取られたと言う。
その【彫刻画師】は(12)【初段】になったばかりで、【彫刻画師】としては一番下のレベルの技量の持ち主だったらしい。
その【彫刻画師】には一人娘が居て、それが、昼間彼女が付き添っていたお嬢様、【京極 鈴羅(きょうごく れいら)】だと言う。
一番下とは言え【彫刻画師】である【鈴羅】の父、【京極 一徹(きょうごく いってつ)】の稼ぎは一般家庭の水準を大きく超えるものだった。
【古都】はその家の下働きとして、住み込みで働く事で生活を保証されていたと言う。
【一徹】は、【鈴羅】を一流の【彫刻画師】に育てるべく、毎日課題を与えていたのだが、【鈴羅】は、その課題を【古都】にやらせていたのだと言う。
続きます。