【リサ】の言いたい事は大体わかっている。
 いつものパターンだったからだ。
 そのため、【修行】が必要な状況を作りだし、【修行】させている内に立ち去ろうと考えていたのだ。
 【リサ】は、
「私、実は好きな人が……」
 と言う。
 【春日井氏】は、
「あ、あぁ。
 【ブライアン】さんでしたっけ?
 彼には悪いことをしましたね」
 と言ってごまかそうとした。
 【リサ】は、
「ううん。
 あんな男の事はとっくに忘れたわ。
 それよりも、私、あなたの事が……」
 と言って腕を絡ませ、胸を押しつけてきた。
 【春日井氏】は、
「いやいやいや。
 僕はただの通りすがりの一般人ですから。
 あなた方の様な勇者様ご一行の方と話せる様な身分では……」
 と言った。
 【リサ】は、
「謙遜なさらないで。
 この闘いはあなたが居たから勝てた。
 それは間違いの無いことよ。
 愛してる」
 と言った。
 【春日井氏】は、
「ひぃぃぃぃぃっ」
 と悲鳴を上げた。
 【魔王】は怖くないのだが、派手な女性に言い寄られるのは人一倍怖かった。
 それを見ていた【アグネス】は、
「ちょっと、【リサ】っ。
 抜け駆けしないでよね。
 私だって目を付けていたんだからね」
 と言った。

続きます。