【春日井氏】は、
「えーっと……
 そのぉ……
 何を話したら良いのか……
 そのぉ……」
 と言いよどむ。
 彼は自分の事を話すのが苦手だった。
 【チェスター】が、
「なんだよ、お前?
 自分の事も話せないのか?」
 と言った。
 それにカチンと来た【チェルシー】が、
「なんですってぇ?
 ご主人様は凄いにゃん。
 お前達なんか足元にも及ばんにゃん」
 と言った。
 【春日井氏】は、
「ちょっと、【チェルシー】君……」
 と言ったが、【チェルシー】は、
「いいえ。
 ご主人様は黙ってくださいにゃん。
 この無礼者達にご主人様が如何に偉大か思い知らせてやるにゃん」
 と言って彼女が説明を始めた。
 【チェルシー】が語って聞かせたのは、【春日井氏】が今までしてきた【冒険】の数々だ。
 過去、3回の冒険を話し出したのだ。
 それは、【リサ】達【冒険者】達の冒険に勝るとも劣らないものだった。
 ただ、それは、【春日井氏】を誘った【冒険者】達がたどった道なので、厳密に言えば、それらの冒険の【終盤】にちょろっと参加しただけではあるのだが。
 その話は【チェルシー】によって誇張されて、【リサ】達に伝えられていた。
 そんな事して良いのかって?
 良いのである。
 それはお互い様なのだから。
 【春日井氏】の冒険も【誇張】なら【リサ】達の話したのも【誇張】。
 ついでに言うなら、【春日井氏】が今まで加わったパーティーから聞かされた話も【誇張】なのだから。
 みんな自分たちを大きく見せるためにオーバーに話をしているのだ。
 【リサ】から聞いた51の冒険の話もどうせ、【誇張】したものなのである。
 【リサ】達は【春日井氏】に良い顔をしたいから、オーバーに表現しているだけに過ぎない。

続きます。