序章 【春日井氏】の人生


ガタタンゴトトンガタタンゴトトン……
 汽車が走る。
「済まないね……
 チェルシー君。
 汽車では猫は【籠の中】でと言うのが決まりらしいのでね。
 猫の姿でお願いするよ」
「大丈夫ですにゃ、ご主人様。
 私は平気にゃん。
 それより、今度こそは断ってくださいにゃ。
 【3回】ですにゃん、【3回】。
 普通は1回あるかないかにゃ。
 ご主人様はお人好しにゃ。
 ビシッと言ってやれば良いのににゃん」
「そ、そうかな……?」
 男性と猫が話している。
 男性の方はボサボサ頭だが、清潔に整えれば相当な美少年と言えるような容姿をしている。
 猫の方は普通の猫では無いようだ。
 しゃべる事からも【化け猫】か何かだと思われる。
 男性の名前は、【春日井 清俊(かすがい きよとし)】。
 猫の名前は【チェルシー】と言う。
 2人は、気ままな旅をしている様だ。
 【チェルシー】が、
「ご主人様、
 ご主人様。
 ご主人様は、こんな所に籠もっているから、巻き込まれるんですにゃ。
 たまには気晴らしにどこかに旅行に行くにゃん」
 と言ったので、
「そうかい?
 じゃあ、君がそう言うのなら、ちょっと旅行にでも行ってみるかい?」
 と言って宛のない気ままな旅行に行くことにしたのだった。
 ところで【チェルシー】が言っていた【3回】とはなんの数字だろうか?
 それは、【冒険者】達に巻き込まれて【魔王】退治した回数だった。
 【RPG】などで考えた場合、主人公となる【勇者】が魔王の支配から世界を救うために、始まりの村を出て、
 経験を積み、
 特殊な力を持つ仲間達と出会って、
 最終的に【魔王】を倒す。
 ――と言う事になる。

続きます。