ではその【悪意】の出所は何処なのか?
 それは、現場となった校舎裏から少し離れた位置にある兎小屋の影に居た。
 【悪意】を放っていた者――それは、【塁】だった。
 【塁】は、
「……死ねば良かったのに……」
 とつぶやいた。
 そして、そのまま、その場を立ち去った。
 どういう事だろうか?
 それは現時点ではわからない。
 だが、彼女が【百遺体物語】と関わっているのは間違い無かった。
 それを証明するかのように、彼女の手には【富永家】にある【百遺体物語】の【原本】の【写本】が握られていたのだから。