人々の生活に根付いた品物に姿形を変えて心の隙間に忍びよる……
 それが、パンドラという呪いだった。
 女性の姿をしているとは限らない……
 ターゲットは不特定多数。
 手当たり次第。
 とにかく、人を殺すための呪いだった。
「よろしくね、学(まなぶ)君。これはお近づきの印ってことで……」
「良いの、杏子(きょうこ)ちゃん?大事にするよ!」
「だーめ、パンドラって呼んでって言ってるでしょ?」
「そうだったね、でも何でパンドラなの?
 全然名前と違うじゃん」
「……パンとどら焼きが好きだからよ。
 だから、パンドラ。
 ね、おかしくないでしょ?」
「もっと良いのがあると思うんだけど、例えば……」
「いいの!パンドラが良いの!」
「わかったよ。パンドラちゃん」
 今日もどこかでパンドラという名の悪意が忍び寄るかも知れない……
 不自然に自分をパンドラとアピールする者がいたらご注意を!
 今日もどこかで、災厄が降り注ぐ……