浩紀は解っていなかった。
名前をパンドラに教えて例え写真でも顔を見せたが最期、その知り合いには死が待っているという事を……。
日曜日になって使われなくなった学校の体育館でマジックショーは執り行われた。
空はよく晴れている。
絶好のデート日和だ。
浩紀はパンドラを連れてやってきた。
「おぉ……」
体育館には他にもお客さんが来ていてパンドラのあまりの美しさにどよめきのような声が漏れた。
浩紀は優越感に浸っていた。
これが俺の彼女だと。
パンドラは体育館に来ている人間を一人一人見て回った。
まるで、これから食事でもとるかのように舌なめずりをしながら。
マジックショーの前に前座として、お笑いサークルの漫才などがあり、ほどよく和んだところで、本日のメインイベント――マジックショーが執り行われることになった。
マジシャンは榮一郎先輩の友人、小野寺勇治(おのでらゆうじ)先輩だった。
彼も榮一郎には及ばないが霊感が強いと言われていた。
カラカラと暗幕をかぶせた何かが客席の後ろと左右に運び込まれる。
浩紀はマジックの種か何かだと思った。
パンドラも同じように思っていた。
客席の後ろには榮一郎先輩が。
左側には碓井 栄美(うすい えみ)先輩が。
右側には里村 翔子(さとむら しょうこ)先輩がついた。
全員霊感が強い事で有名な先輩だった。
そして、正面には勇治先輩がついて、彼はマジックショーを始めた。