10 怯えるパンドラ
「浩紀君、お願いがあるんだけど、良いかな?」
「え?何?」
「私ぃ、彼氏とぉ、ちょっと旅行に行きたいんだよねー。
悪いんだけどぉー3日間だけ家のエンジェルにエサやっていて欲しいんだけどぉ……
駄目かなぁ?」
「あぁ、いいッスよ。
3日くらいなら……」
浩紀はバイト仲間の亜紀(あき)から白い鳩を預かることにした。
名前の通り、天使のような翼を持つ綺麗な鳩だった。
「パンドラにも見せてやろう。
喜ぶかな?」
意気揚々として家路につく浩紀。
「いやぁぁぁぁぁ!」
出迎えたパンドラは血相を変えて悲鳴をあげて後退った。
「どうしたんだ、パンドラ?」
「来ないでぇ!
あっち行って!!」
駆け寄ろうとする浩紀が近づくのを拒むパンドラ。
(鳩?
この鳩を嫌がっているのか?)
浩紀は鳩を玄関に置いてからパンドラに近寄った。
「殺して……
あれを殺して!」
鳩を指さし、殺すように言うパンドラ。
「駄目だよ、あれは預かりモノだから、殺せないよ。
それに殺すなんて言わないでよ」
「じゃあ、返してきて……」
「……わかったよ。
パンドラがそんなに言うなら返してくるよ……」
鳩を嫌がるとは思わなかった。