彼の記憶では祥吾という男は少なくとも他人に礼を言う様な男では無かった。
 やってもらってもそれが当たり前。
 他人は自分のために存在しているのであり、自分は他人を見下すためにある。
 そんな意識を持っている性根の腐った男だ。
 だから、お礼を言われたのが本当に気持ち悪かった。
 後で知ったのだが、祥吾の両親は事業に失敗、多額の借金を残し、首を吊ったとのことだった。
 両親だけではなく親戚や友人も悉く亡くなっていたことも後で知った。
 どれも非業の死だったそうだ。
 中には、殺人鬼に一家を皆殺しにされた者もいるらしい……
「羽住ぃ……
 元気でやっているかぁ……
 今、そっち行くよぉ……」
 廃墟となったビルで祥吾は静かに瞳と自らの人生に幕を下ろした。