馬鹿な俺は、一も二もなくその言葉に飛びついた。
 【女を抱ける】――その言葉に釣られて。
 ん?何を言っているのか解らない?
 まぁ、そうだろうな。
 だから、順を追って最初から説明する。
 俺は、【札月 るわ(ふだつき るわ)】として、生を受けた。
 勘のいい奴はすぐに解ると思うけど、【るわ】って名前をひっくり返すと【悪(わる)】になる。
 つまり、【札付きの悪】。
 悪名が周囲に知れ渡っている不良のことを指す言葉と似た名前になってしまった。
 うちの馬鹿な両親は、【るわ】は【悪(わる)】の逆になっているから、【良い】って意味なんだとの事だ。
 どうやら、逆さに読んだから意味が逆だと言いたいらしい。
 そんなふざけた【名前】をつけられたもんだから、俺の人生はろくなもんじゃなかった。
 見たこともないヤンキーに喧嘩をふっかけられる事は日常茶飯事。
 仲良くしたいと思っている同級生からはウジ虫を見る様な目で見られていた。
 いじめみたいなのもいっぱい経験した。
 だから、俺は女にはとことんモテなかった。
 告白しても大概、名前の事でフラれていた。
 寂しい青春時代だった。