彼女のために貢ぎたいと言う男の数は、他の一族の女よりも、一桁どころか二桁違っていた。
 それだけの異様な才を誇っていた。
 彼女と良い仲になりたいと言われる者は星の数より多いとされており、彼女のためであれば、全ての財産を捧げると言ってくれる男も腐る程、存在する。
 もちろん、金の無い者は命を投げ出す事も厭わない者も居る。
 そんな彼女は、一族からどんなステータスの男を騙くらかすと期待されていたが、彼女が近づいた男は、【上抜 訡芯(うえぬき ぎんしん)】と言う少年だった。
 【訡芯】は、【オタク趣味】であり、パッと見、特別な事も無さそうな冴えない男の様に見えた。
 だから、【艶美太夫】とは全く釣り合わないと思って、女は忠告に来たのだ。
 このままでは、【女狐一族】の名折れだと。
 一族最高の女が狙うべき男じゃない。
 そう、言いたかったのだ。
 【艶美太夫】は、
「ちょいと、あんた。
 今のは聞き捨てならないねぇ。
 ひょっとして、ボンクラとは【旦那】の事を言っているのかえ?」
 と女に言った。