彼は怖くなった。
 【ハピネス】が言っていた様に【吟似】の秘めたる才能に気付いてしまう事を。
 それを認めてしまうと【トレンド】は【吟似】の事を認めてしまうかも知れないからだ。
 だから、彼は確かめるのを止めて【メロディック王国】に戻る事にした。
 土壇場になって日和ったのだ。
 人には分相応というものがある。
 自分の役目は【お庭番】として、【メロディック王家】を守る役目がある。
 それ以上でもそれ以下でも無い。
 【カノン姫】には彼女に相応しい男性が彼女を守って行くだろう。
 認めたくは無いが【吟似】はもしかすると……
 【トレンド】はそれを確かめずに逃げ帰ったのだった。
 一方、【吟似】は、
「はぁ~びびったぁ~。
 殺されるかと思ったぁ~。
 何だよあの人、突然……」
 としっかりビビッてヘタレっぷりを発揮していた。
 まさか、自分が【トレンド】に脅威を抱かせていたとは夢にも思っていなかったのだった。