だから、俺はエヴェリーナの気配を分散させ、移動したように見せかけた。
 その上で、エヴェリーナの気配をそれまでとは全く異質なものに変化させた。
 俺の推測が正しければ、これで、ウィルヘルムはエヴェリーナの気配を見失うはずだ。
 エヴェリーナの偽の気配を移動させてからしばらくして、俺はエヴェリーナを連れて屋敷を出た。
 その上で、別の場所で、更に彼女の気配を変えて、また、別の場所に移動し、更に別の場所でまた気配を変えるという行為を何度か繰り返した。
 これで、よっぽど探知能力に優れている存在でもない限り、追ってはこれないはず。
 その場にエヴェリーナを残し、俺はその場を離れた。
 逃げてばかりでは何にもならないからだ。
 エヴェリーナから聞いたウィルヘルムの情報を元に、こちらから探索する。
 とは言っても、この場から直接追ったのであれば、逆探知により、エヴェリーナの所在が解ってしまう。