でもこれは単なる綺麗事。
 普通の人は殺したいほど憎い相手を許せない。
 許したくても許せないのだ。
 だけど、これを実行しようとしている者が居た。
 それも自分が忌み嫌っていた魔女神がだ。
 シリスの行動は自分の醜さを、心の弱さを見透かされたような感じがした気がして仕方なかった。
「ダーリンを責めている訳じゃないよ。あたいだって、百人の命を奪って生きている罪人だもん。幸せになんてなれないかも知れない。だけど、何人殺すのも一緒、そんな感じには考えられない。どんな人だって、今まで生きてきた人生があるんだよ」
「解ってねぇんだよ、お前は。中にはねじくれまくって言葉の通じねぇ、クソみてぇな奴だっているんだ」
「そうかも知れない。でも、人との絆ってまず、相手の事を信じる事からはじめないといけないと思うよ。相手の事を信じられなかったら、そんなの友達じゃない。仲間じゃないよ。誰も信じられない人生なんて寂しいと思わない?」
「勝手にしろっ」
「勝手にしないよ。ちゃんとダーリンにも付き合ってもらいたい。ダーリン、いつも寂しそうだもん。仇を討ちたいって気持ちは否定できないけど、それでも日々の小さな幸せくらい感じてもらいたいもん。仇討ちだけの人生なんて悲しいよ」
「このっ」
 リグレットはシリスの頬をはたこうとして止めた。