見たところ、特殊な力を持っている風でもない。
 功を焦った、三下が手柄を求めて、リグレットに因縁をふっかけて来たのだろう。
 主のマリスにとってはこれは様子見と言ったところだろう。
 どこかで他の配下が見て、リグレットの力量を観察しているのだろう。
 つまり、この戦いの戦法如何によって、マリスの出方も変わってくるという事でもある。
 だとすれば、初っぱなから手の内を晒すことはできない。
 何か他に隠し球があると思わせる事がマリスへの牽制にもなるからだ。
「おいおい、お前程度じゃ相手にならねぇよ。悪い事は言わねぇ。出直してきな」
 相手を挑発するリグレット。
 相手の男は頭に血が上っている。
 今にも突進でもしてきそうな勢いだ。
 だが、リグレットはそれをさせない。
 間合いを微妙にずらし、タイミングを外しているのだ。
 そのため、男は飛びかかりたくても動くタイミングがずれてしまい、足が前に進まなくなっているのだ。