第一章 第一節 魔女神達の勢力図
「ダーリン、見て見てぇ~これ、可愛いと思わない?」
シリスは勤めているバーに花を飾って見せた。
この世界は魔女神の影響で、曇天が当たり前の状態となっている。
そのため、日の光は週に2日か3日、届けば良い方である。
曇天が続くと人の気持ちは沈む。
せめて、綺麗な花でも飾って優しい気持ちになってくれればという彼女の気持ちが形になったもの――彼女が得た桜色の魔女神の異能を使って花を咲かせたのだ。
日の光があまり届かないこの世界にとって花は貴重だった。
どのような花であれ、咲くという事は小さな奇跡の象徴だった。
だが、リグレットにとっては――
「興味ねぇよ……」
感心がないかのように目を背ける。
本当に感心がない訳ではない。
彼はその花を憎むのが怖かったのだ。