「僕は、何も出来ないんだね」
「違う、あんたには夕愛の戦いを見るって役目がある。夕愛も奈朝もあんたへの恋慕いを胸に行動している。それは姉ちゃんの気持ちでもある。真っ直ぐに受け止めてくれ」
「僕は無力だ。また、為す術無く、彼女をコールドスリープさせてしまった時と同じく、何も出来ない。とんだでくの坊だ。情けない……」
「気持ちの形に差異はあっても基本は同じ、あんたに対する気持ちは一緒だ。男なら、どーんと構えて待っててくれ」
「ふふ、君に諭される時が来るなんてね」
「俺も成長したって事よ」
「ちょっと変わって。お兄ちゃん」
「奈留?」
「そう、奈留よ。私、この人と一緒になったの。切っ掛けはお兄ちゃんと一日さんの思いの強さに触れた時に何となくね。だから大丈夫、ふたりの気持ちの強さは周りの人にも影響するくらいに強いの。だから、今は夕愛ちゃんの事を信じてあげて」
「そうか、一緒になったのか。あんなに仲違いしていたのに。人生どうなるか解らないな」
今の真を通して、未来の弟妹と話せた彼方は少し吹っ切れた気がした。
解らないことだらけだけど、みんな自分達の為に何かをしてくれていることは感じる。
その暖かさは涙が出るほど嬉しかった。
昔、戦場に向かう夫を送り出した妻はこんな気持ちだったのかも知れないなと思った。
今は男女が逆転しているけど、自分に出来る事は信じて待って彼女が戻って来れる場所を確保する事だと割り切ったのだった。