「あの……」
その言葉にハッとして、意識がはっきりする。
寝そべる彼方を女の子が頭越しに覗いていたのだ。
「うわっ……」
思わず、後退る。
突然、現れた気がして、ビックリしたのだ。
「風邪ひきますよ、こんな所で寝ていると」
どうやら、親切な女性が声をかけてくれたようだ。
「あ、す、すみません……お気遣いどうも……」
とりあえず、お礼を言う。
どうも最近、女性と話すのが苦手になってしまっているようだ。
「良い天気ですね。これは、明日も晴れますね」
女性は当たり障りのない会話をしてきた。
そのまま立ち去るのもなんだと思ったのだろう。
彼方は女性が連れてきていた犬と少しじゃれあって見せた。
彼女は犬の散歩の途中の様だった。
「可愛い犬ですね」
「はい、ラッキーって言うんです」
「ラッキーですか……良い名前ですね」
「ありがとうございます」
彼方も当たり障りのない会話で返す。