何とか彼女の気を惹こうと思って、自分の中の引き出しをひっくりかえして、言葉を紡ぎ出していっているつもりなのだが、彼の引き出しにはろくなものが入っていなかったため、組み合わせてもおかしな言葉になるだけだったのだ。

 普段の、勉強不足がここで出て来てしまったという感じだった。

「私、バカは嫌いです……」
 それだけ言うと、松代嬢は走り去っていった。
 後にぽつんと太輔が取り残される。

続く。