結果的には葵の出血は思ったほど酷くなく、雨も混じっていたので、たくさん出血したように見えていただけだった。
 むしろ、太輔が自分でつけた傷の方が深かった。
 彼は、自分で傷つけた事を正直に話していて両親にこっぴどく叱られていた。
 自分の血を飲ませたからと言ってそれが輸血にはならないという事も知らなかった。
 彼は当時から物知らずだったのだ。

 つまり、太輔は葵の命を助けた訳ではないのだが、彼女にとっては助けてもらったも同然だった。
 彼女は、それ以来、太輔型の抱き枕と彼の心臓に似せた音源を聞かないと夜も眠れなくなるくらい、彼に依存してしまっている。