――そうだった。
 姫野を狙っているのは【棘】だけではなかった。
 【棘】を警戒して、人通りを避ければ他の悪霊達がこれ幸いと近づいてくる。
 くそっ……八方塞がりだ……
 甘かった……
 【斑】を倒せたから【棘】も……

 そう思っていたけど、悪霊はそんなに甘く無かった。
 そう思っていた俺から希望を奪う一声がかかる。
(楽しいか?俺とも後で遊ぼうぜぇ……)
 その声の主の女生徒の左腕には斑模様の痣が……
 俺たちは【斑】も倒してなんかいなかった……
 奴らは悪霊であると同時に悪質なストーカーでもあるんだ……
 簡単に諦めるようなたまじゃない……
 俺たちは……俺は……奴らをなめていた……。
「いやっ……」
「ひ、姫野、待って……」
 姫野はたまらず人通りの多い方へ駆け出す。
 俺もついていくしかなかった。