だからこそ余計に厄介だ。
 一人の指示の偽者達の中にもう一人の指示の偽物を混ぜても解らない……
 そのため、偽者が別の動きをとった時、対処が遅れてしまう。
 敵を褒めたくはないが、双子ならではの見事な連係プレイで俺たちを翻弄していた。
 偽者は祓われると普通の人間に戻る。
 その人間は自分が何をしていたか解らない。
 だから、責める訳にもいかない……
 だけど、その人間が再び【棘】に取り憑かれ、姫野を襲おうとする……
 こんな【いたちごっこ】を続けてもこっちが消耗するだけだった。

 とにかく、姫野から人を遠ざけないと……
「姫野、こっちだ……」
「う、うん……」
 俺は姫野の手を取り、人通りの少ない所に出ようとした。
「よし、あっちへ行こう……」
「だめ……人が居なくなると……他の悪霊が……」

続く。