「そいつは【闇】……【鈴木美恩】よ。私になりたがっている女……」
 俺の後をつけて来ていたのか、本物が声をかけて来て、偽物の正体を教えてくれた。
「……ひ、姫野……」
「……ほんと……あなたにはびっくりだわ。よく、そいつが私じゃないって解ったわね?」
「……言ったろ、俺は霊感が強いって……本物とぱちもんの区別くらいつくさ」
「……ほんと……変な人……」
 姫野が俺に対してよく言う【変な人】……それは興味あると受け取って良いのだろうか……?
(……ねぇ……あなた……私ならあなたに対して、つくしてあげることが出来るわ。そっちは多分、あなたの思うようにはしてくれない……同じ顔なら……私を選んだ方が得じゃない?)
「――損とか得とかの問題じゃない。俺は姫野が好きなんだ。お前のような偽物じゃない!」
 い、言ってしまった。
 普段、口下手な俺でも、悪霊に対する恐怖心が中和するのか、スラスラと姫野に対して気持ちを伝える事が出来てしまう。
「……恥ずかしい人ね……」
「え、いや、これは……その……」
「……ありがと、気持ちは嬉しいわ……」

続く。