(――彼女は僕のものだ……近づくな……)

 彼女の示した方向を見ると一人の男子生徒が立っていた。
 一目でわかった。

 こいつは霊だ……それもかなり質の悪い……
 怖い……
 怖いけど……ここで逃げたら、永遠に彼女を失う――そんな気がしたから、俺は直立不動で動かなかった。
「……逃げないの?」
 彼女は問いかける。
「に、逃げない……君の前では」
「………」
 俺は精一杯の虚勢を張る。
 彼女は目をぱちくりさせていた。