十二 【陰】…【田中重道】



「勇作、彼女の事なんだけどさ……」
「……あぁ……彼女か――彼女の名前は【姫野華玖耶】――何人もの男が彼女に告って玉砕してるよ。別名【かぐや姫】……なんだ、お前、彼女に興味あるの?」
「え……あ、あぁ……まぁ……ちょっと……」
「――ふーん……唐変木のお前がねぇ……春が来たもんだねぇ」
「な、何だよ、そ、そんなんじゃ……」
「じゃあ、どんなんだ?」
「い、いや……その……」
「男でしょ、うじうじしない!」
「な、なんだよ倫まで…」
「あんたが、もたもたしてるから私が付き添ってあげたんじゃないの。大体、鮫島にじゃなくて本人に聞きなさいよ、本人に」
「ほ、本人って……」
「――こんなのが私の甥かと思うと情けなくなってくるわ……」
「………」