そういう意味では貧乏神の要素もどこか持っていると言えるだろう。
 フェンディナ・マカフシギが異様に敵の襲撃を受けていたのはこの【クライ・クライ・クライ・クライ】に取り憑かれていたからだったのだ。
 今まではかなり遠方から泣いて敵を集めていたが、近くに敵となる存在が居なくなってしまったため、直接、フェンディナ・マカフシギの側に来て、敵を集める事にしたのだ。
 普通に攻撃しても実体が無いので、ダメージを与える事が出来ない厄介極まりない存在。
 通常はそう思うのだが、フェンディナ・フェ・ナンディは冷静だった。
 実体がないのであれば、実体を与えてから倒せば良い。
 フェンディナ・フェ・ナンディは、
「彼の者達に実体を……」
 とつぶやいた。
 するとその声に反応してフェンディナ・フェ・ナンディの体から靄(もや)のようなものがジワッと出て来たかと思うと、その靄のようなものは突然、ものすごい、勢いで【クライ・クライ・クライ・クライ】達を取り囲んだ。
 フェンディナ・フェ・ナンディの特殊能力、【虚像実体化縛(きょぞうじったいかばく)】だ。
 実体の無い存在はそれほど、頻繁に現れるという訳ではないので、滅多に使う事は無い力だが、フェンディナ・フェ・ナンディにとって、実体が無い存在など、全く脅威ではなかった。
 【虚像実体化縛】とは文字通り、実体の無い存在に実体を与え、そのまま捕縛してしまう力だった。