年老いた翁(おきな)――描堂 利圏(びょうどう りけん)は寿命が迫っていた。
 老い先短い彼の寿命がもう、間もなく尽きようとしていた。
 だが、未練は無い。
 ひ孫が――沙玲が、あの最強の英雄と言われる【芦柄 吟侍】の後継者予備軍に選ばれたのだから。
 ひ孫はちょっと抜けた感じのする女の子だ。
 どこかぼーっとしていて、見た感じ頼りない少女だった。
 そんな彼女を利圏は鍛えるだけ鍛えた。
 自分が叶わなかった最強の勇者という夢をひ孫に託すために。
 心を鬼にして鍛えた。
 だが、彼女には戦闘は向いていなかった。
 読書好きの文系少女。
 戦うよりも本を読むことの方が好きな眼鏡をかけた女の子。
 それが彼女だった。
 だから、利圏は他の後継者を探した。
 探したが見つからなかった。
 寿命も迫り、諦めかけたその時、沙玲のある才能に気づいた。
 彼女の特性に。
 彼女は本来の性格のままでは全く役に立たない。
 勇者としては無能と言っても良い。