05 悩む人――未知御 終主(みちお しめす)


 ならず者に絡まれていた未知御 終主はそこから逃げ出した。
 力を使わずに対処するにはそこから逃げ出すのが一番だからだ。
 だから、彼は端も外聞も捨て、そこから逃げる選択をした。
 どんなに辱めを受けようとも【答装】を使う恐怖に比べたらどうという事は無かった。
 逃げた先で終主は疲労もあり、そのまま寝てしまった。
 寝た時に見るのは決まってあの悪夢だ。
 いや、正確には悪夢かどうかは解らない。
 ただ、【答装】を使えばついてくる宿命の様なものでそれを誘う夢だという事は感覚的に解って居た。
 終主の夢にはいつも子供が出てくる。
 自分の事を、
「お兄ちゃん……遊ぼうよぉ……」
「お兄ちゃん……遊んでぇ……」
「お兄ちゃん……遊ぼ……」
「お兄ちゃん……遊ぶのぉ……」
「お兄ちゃん……遊ぶのおいや?……」
「お兄ちゃん……遊んでください……」
 何名居るのかは夢の中では解らない。
 同じ子供が言っている様な気もするし、複数の子供が言っている様な気もする。
 解って居るのはその子供は1名だろうと複数だろうと、何か大きな宿命を彼のために持ってやってくる。
 それは、終主の器ではおさまりきれない程、とてつもなく大きなもの――
 そんな気がするのだ。
 彼が【答装】を一度でも使った時、その宿命はセットでやってくる。
 それが解っているから――夢で何度も見たからこそ、彼は意固地になって【答装】を使わないという選択をしていた。